

240g、280g、320g。
スーツの生地を見ていると、こうした数字を目にすることがあります。
これは「目付(めつけ)」と呼ばれる、生地の重さを示す指標です。
ただし、数字が大きいほど良いわけでも、軽いほど高級なわけでもありません。
目付は、生地を知るためのひとつの手がかりです。
スーツ生地の目付は、一般的にダブル幅(約150cm)の生地1mあたりの重量を「g/m」で表します。
たとえば「280g/m」であれば、その規格における生地1mあたりの重量が約280gということです。
目付を知ることで、生地の軽快さやしっかり感、季節性などを考えるひとつの目安になります。
一般的に、軽い生地は着用感が軽快で、暑い季節にも取り入れやすい傾向があります。
一方、ある程度の目付を持つ生地には、ハリやコシがあり、自重による美しいドレープが生まれやすいものがあります。
パンツがすっと下へ落ちる。
ジャケットの立体感がきれいに出る。
そんな仕立て映えにも、生地の重量は関係しています。
ただし、ここで重要なのは、
「重い=良い」「軽い=悪い」ではない
ということです。

目付には、季節を考える際のおおよその目安があります。
ただし、これはあくまで目安です。
たとえば、夏の代表的な生地のひとつであるフレスコやポーラ。
強く撚った糸を使い、通気性を確保した織り方によって、280〜300g/m前後のしっかりした目付を持ちながら、夏に適したものもあります。
つまり、
「300g近いから、冬物。」
とは限らないのです。

生地の性格を決めるのは、目付だけではありません。
これらが組み合わさることで、生地の風合い、通気性、ハリ、光沢、シワへの復元性などが変わります。
同じ280gという数字でも、まったく違う生地になり得るのです。
高温多湿な日本では、どうしても軽い生地に目が向きます。
もちろん、軽快な着心地は大きな魅力です。
しかし、ビジネスで長時間着用するなら、軽さだけではなく、通気性やシワへの復元性、ハリ・コシなども考えたいところです。
強撚糸を使った生地のように、ある程度の目付を持ちながら通気性や復元性を考えて設計された生地もあります。
数字だけを見て「軽いもの」を選ぶのではなく、実際にどう着るのかまで考える。
そこに、生地選びの面白さがあります。
目付は、品質を示す点数ではありません。
軽い生地には、軽い生地の魅力がある。
重い生地には、重い生地の魅力がある。</p
