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高いスーツなのに、なぜ格好良く見えないのか。

高いスーツを買った。生地も仕立ても、悪くない。

それでも鏡の前に立つと、どこかしっくりこない。

その違和感は、価格や生地とは別のところから生まれているのかもしれません。

スーツ姿の見え方を考えるうえで大切なのは、服そのものの価格だけではなく、シルエット、コーディネート、コンディションです。

高いスーツ=格好良い、ではない

まず、高価なスーツそのものを否定する話ではありません。

高価格帯の生地には、光沢やしなやかさ、肌触りなどに魅力を持つものがあります。丁寧な仕立てにも、それだけの手間と価値があります。

しかし、価格だけでは決まらないものがあります。

  • 身体へのフィット
  • シャツやネクタイとの調和
  • 靴や革小物とのバランス
  • 着る場面との相性
  • 服や靴のコンディション

高い服と、似合う服は違う。

大切なのは、良い素材や仕立てが、その人の装いとしてきちんと活かされているかどうかです。

第一に、シルエット

スーツが大きすぎれば、生地が余り、身体が服の中で泳いで見えます。

反対に小さすぎれば、ボタンの周辺に引きつれが生まれたり、背中がつっぱったり、パンツのポケットが開いたりすることがあります。

肩が合っていなければ、肩先や首まわりに不自然なシワや型崩れが生じることもあります。

共通しているのは、服が本来持っている美しい線を十分に活かせていないことです。

そして、「細い=サイズが合っている」ではありません。

身体に密着させるほど良いわけでもなく、その人の身体のラインや動きに応じた自然なゆとりが必要です。

これはオーダースーツでも同じです。身体に合わせやすいからこそ、単純に細くするのではなく、その人にとって自然なバランスを考えることが大切になります。

服に着られるのか。服を着こなすのか。

その違いは、まずシルエットに現れます。

第二に、コーディネート

スーツは、一着だけで装いが完成するものではありません。

シャツ、ネクタイ、靴、ベルト、靴下、ポケットチーフ。

それぞれが全身の中でどう調和しているかによって、見え方は変わります。

胸元では、シャツの襟、ネクタイ、ジャケットのラペル。足元では、靴や靴下、革小物。

色を使いすぎたり、強い柄同士を重ねたりすれば、視覚的にまとまりにくくなります。素材感を揃えることも、全体の調和につながります。

一つひとつが高価であることより、それぞれが自然につながっていること。

高価なものを足すより、違和感をひとつ減らす。

それも、大人の装いを整える一つの考え方です。

第三に、コンディション

どれほど良いスーツでも、シワや汚れが目立っていれば、その魅力を十分に伝えることはできません。

それは靴も同じです。

服は、何を持っているかだけではなく、どう扱っているかも外見に現れます。

良いものを選ぶこと。

そして、選んだものと丁寧に付き合うこと。

その両方があって、装いは少しずつ整っていきます。

盛ることが、洗練とは限らない

細すぎるシルエット。派手な色や柄。小物の足しすぎ。

何かを加えれば加えるほど、格好良くなるとは限りません。

服装に関する資料には、身だしなみをシンプリシティ――簡素さ、控えめさと結びつける考え方があります。

服ばかりが目立ってしまえば、着ている本人の存在が薄れてしまうこともある。

簡素であること。控えめであること。そして、全体が調和していること。

大人の装いには、「足す」だけではなく「引く」という考え方も必要なのだと思います。

価格では買えないもの

さらに、服の外側にもスーツ姿を左右するものがあります。

姿勢や立ち居振る舞い。そして清潔感。

前かがみの姿勢はスーツの背中の見え方にも影響します。襟元や髭、爪、靴などの状態も、装い全体の印象につながります。

これらは、高価なスーツを買えば自動的についてくるものではありません。

価格は、装いを構成する一つの要素です。完成そのものではありません。

DEFFERTが、スーツだけを見ない理由

ここからは、DEFFERTの考え方です。

高い服を身につけることと、その服を自分のものとして着こなすことは、別のことだと考えています。

その人の身体。

仕事。

立場。

着る場面。

そして、好み。

それらを見ながら、一着だけではなく、装い全体を整えていく。

オーダーの価値は、単に選べる生地や仕様が多いことではありません。

その人に何が合うのかを、対話を重ねながら一緒に見つけていくことにもあると、DEFFERTは考えています。

スーツだけを見るのではなく、その人を見る。

良い服は、良い装いの入口です。

その先にあるのは、その服と、その人との関係なのだと思います。