

夜、灯りの下で上着を脱ぐ。ポケットから鍵と名刺入れを取り出し、ハンガーに掛ける。
誰かに見せるための動作ではありません。それでも、服との関係は、こうした時間にも表れます。
服を大切にするとは、買った後も服の状態に目を配り、着用後の手入れや保管、休ませること、必要な補修を続けることです。
スーツであれば、ポケットを空にする、服の形に合うハンガーに掛ける、すぐにしまわず風を通す。そうした小さな行動が出発点になります。
手入れの方法は素材によって異なります。その一着に合う扱い方を確かめることも、大切にすることの一部です。
生地を見て、仕立てを確かめ、自分に合う一着を決める。服を選ぶ過程には、確かな喜びがあります。
そして、選んだ後には、その服を着て過ごす日々が続きます。
良い服を揃えている人は、手入れにも同じように気を配っている。
良い服を選ぶことと、服を丁寧に扱うこと。その二つは、ひと続きの楽しみとして考えられます。
まず、ポケットの中身を出す。物を入れたまま吊るすと、その重みが型崩れの原因になります。
次に、服の肩の形と幅に合う、厚みのあるハンガーに掛ける。細い針金のハンガーを避け、肩の形を支えて保管します。
脱いだ服は、そのまま閉じた場所にしまわず、風通しのよい日陰で風を通してから収納します。
ブラッシングは手入れの基本です。着用後のホコリを払い、表面を整えるための習慣です。
ただし、素材によってはブラッシングの扱いにも注意が必要です。同じ方法をすべての服に当てはめず、その一着に合う手入れを確かめておきます。

服を休ませることは大切です。同じスーツを続けて着ず、間を置く。袖を通さない日も、一着との付き合いに含まれます。
小さな傷みを早めに補修し、糸のほつれやボタンの緩みに気づいたら、そのままにせず、早めに手を入れる。
体型が変わったときには、お直しで対応できるかを相談する道もあります。ただし、生地の余裕や服の構造によって、できることは変わります。
クリーニングも、一律に回数を決めるより、汗や汚れの程度、着用状況、素材に応じて判断することが大切です。日々の手入れを続けながら、必要な処置は専門家に相談します。
買うときには目を向けていた生地や仕立て。着慣れた後も、その状態に気づけるでしょうか。
袖を通す前に、ほつれがないかを見る。脱いだ後に、ポケットを空にする。次に着る日まで、形を整えて休ませる。
良い服を選ぶ喜びに、丁寧に扱う習慣が加わる。その積み重ねが、一着との付き合いを育てていきます。
服を大切にすることは、今ある一着に、もう一度目を向けることから始まります。
今日脱いだ上着を、丁寧に掛ける。まずは、その一着から。

名古屋のオーダースーツ店DEFFERTより、服を選んだ後の向き合い方について。