

スーツを選ぶとき、「英国調」「イタリア調」という言葉に出会います。その違いは、どこに表れるのでしょうか。
英国スーツとイタリアスーツの違いは、肩や胸の形、全体のシルエット、仕立ての柔らかさなどに表れます。基本的な傾向として、英国調は輪郭を構築する方向、イタリア調は柔らかなラインを生かす方向と説明されます。ただし、イタリアにも構築的な仕立てがあり、国名だけで一括りにはできません。
肩と胸に表れる傾向、イタリア国内の様式の幅、そして生地の生産国と仕立ての様式。その三つを分けて見ると、違いを理解しやすくなります。
「構築的」とは、肩や胸の形を仕立てによってつくり、服の輪郭を表す方向です。柔らかな仕立ては、その輪郭を自然なラインとして表現する方向と捉えると、違いを想像しやすいでしょう。
素材と服づくりの側から、英国のハリ・コシのある生地による構築的な服づくりと、イタリアの軽く柔らかな生地による非構築的な服づくりを対比しています。
ただし「英国の服はすべて硬い」「イタリアの服はすべて柔らかい」と、そのまま一着ずつに当てはめることはできません。

イタリアのスーツにも、ひとつの型に収まらない幅があります。
ミラノ、フィレンツェ、ローマ、ナポリにより違いはあります。
ミラノの様式は、芯地を用いてラインを出す構築的な仕立て。一方、ナポリについては柔らかな仕立てが紹介されています。同じイタリアのなかに、異なる服づくりの方向があるのです。
「イタリア調だから柔らかい」と決めつけず、どのような様式を指しているのかまで見る。その一歩で、国別の説明はもう少し具体的になります。地域の特徴も、そこで作られるすべての服を決めるものとして扱わないことが大切です。
「英国生地を使っているから、英国スーツ」。そう考えたくなるかもしれません。けれど、生地の生産国と、どのような形に仕立てるかは別の軸です。
英国の生地をイタリアの仕立て様式で仕立てることもあります。英国生地を使うことと、英国調の様式で仕立てることは、同じではありません。
生地はどのような質感か。肩や胸をどのように表現するか。二つを分けて考えると、国名だけでは見えなかった一着の特徴が見えてきます。

英国調、イタリア調という言葉は、装いを知る手がかりになります。そのうえで選ぶときは、目の前の一着を確かめたいところです。
これは国別に正解を決めるためではなく、自分の一着を選ぶための視点です。肩の形だけで判断せず、全体の着姿と着用感を合わせて見ていきましょう。
国名から知り、着姿で選ぶ。その一着を着るのは、自分自身です。
肩や胸の形、全体のシルエット、仕立ての柔らかさなどに表れます。英国調は輪郭を構築する方向、イタリア調は柔らかなラインを生かす方向として対比されます。ただし、国全体のすべての服に当てはまるものではありません。
一括りにはできません。ナポリの柔らかな仕立てと、ミラノの芯地を用いてラインを出す構築的な仕立てもあります。これらも地域様式の説明であり、その街のすべての服を示すものではありません。
生地の生産国だけでは決まりません。生地の生産国と仕立ての様式は別の軸で、英国生地をイタリアの仕立て様式で仕立てることもあります。
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